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日本には,石灰洞(鍾乳洞),溶岩洞,海食洞などさまざまな洞窟があります。
洞窟学は,これらの洞窟に関するあらゆる研究分野から成り立ちます。また,
研究のためには,洞窟探検もかかせません。日本洞窟学会は1975年に創設されました。
それまでに既にあった洞窟生物の研究者による日本洞窟地下水研究会や地学関係の研究グループが母体となりました。
最近になって、ケイビング組織および日本火山洞窟協会との合併も完了し,いよいよ飛躍の時期を迎えております。 洞窟学会は,地理学、地質学、古生物学、生物学、人類学・考古学、物理学・化学、 ケイビング・探検技術、火山洞窟学の8つの専門分野から構成されます。 1999年には日本学術会議へ登録され,学術団体として公にも認められました。 洞窟研究の黎明期から御尽力いただいた諸先輩方の御努力に報いるためにも, 学際的な広い分野からの研究を推進し,洞窟に関する教育・啓蒙,洞窟の保全と持続的利用のために, 得られた成果を今まで以上に役立てることを積極的に目指さなければなりません。 日本洞窟学会では、日本各地において年1回の総会と学術講演会、ケイビング大会を開催します。 今年度は8月23日(土)、24日(日)に福岡県北九州市立自然史・歴史博物館(いのちのたび博物館) において開催いたしました。4件の普及(公開)講演や16件の口頭発表、 7件のポスター発表があり、 新築の講座室においてアトホームな雰囲気の中で活発な質疑応答が行われました。 会員、市民延べ170名の参加がありました。その中には、 韓国からの発表や参加も含まれます。また、この会期をはさんで、ケイビングや巡検等も行われ、 ケイビングを会期中に行わない初めての試みは成功裡に終えることができました。 洞窟学会では,これ以外にも,学術誌「洞窟学雑誌」を年1回, 情報誌「ケイビングジャーナル」 を年3回配付して, 世界のケイビングおよび洞窟学に関するあらゆる最新情報を提供しております。 また,国際的な組織「国際洞窟学連合 UIS」のメンバーであり,国際交流にも貢献しております。 昨年7月には韓国三陟(サムチョク)市において開催された世界洞窟博覧会に参加し、 世界中からの参加団体、参加者との交流につとめました。 学際領域であることも関係して, 日本において洞窟学を専門に研究することのできる機関や施設は極めて稀です。したがって, 洞窟学の専門家の数は非常に少ないのが現状です。しかし,裏をかえせば, アマチュアと専門家との距離がもっとも近い学会の一つといっても過言ではありません。また,洞窟探検では, だれもが知っている洞窟であっても,そこからさらに未知の大洞窟がのびている可能性は残されています。 より高い山に登るパイオニアワークはチョモランマ登頂で終わりましたが, 洞窟探検にはまだその余地が十分にあるのです。私は,大学探検部に所属して以来, 多くの仲間とともに洞窟探検を満喫してきました。同時に, 洞窟は私にとって尽きることのない興味をかき立てる研究対象としてもあり続けています。 このような世界をのぞいてみたいと思われた方は,是非洞窟学会に入会されて,探検や研究に挑戦してみて下さい。 洞窟学会はそのような方のお手伝いをいろいろすることができるはずです。 前にも述べましたように,洞窟学会は環境整備を終えて飛躍を目指す時期にあります。 しかし,どのような方向に飛び出すかは, 会員の総意に基づいて決めなければなりません。背伸びし過ぎても,いろいろ破たんが待っています。したがって, 着実にできる所から進めて活性と柔軟性を兼ね合わせた学会にしていきたいと思います。 そのためには,会員全員の支援と学会運営への積極的な参加が必要です。 我々のための学会をより良いものにするためにも,御協力をお願い致します。 |
日本洞窟学会会長 吉村 和久
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