洞窟救助委員会が把握した、事故報告・通報や報道が行われたものを集めたものであり、クラブ内処理などで外部へ事故情報が報告されなかったものはリストアップされておらず、事故報告のある団体には偏りがある。特に無傷や打撲、指の骨折程度の小さな事故で自力出洞の場合には、洞窟救助委員会関係者が関与しているものしか集めることができておらず、実際にはさらに多くの事故があると思われるが、消防への通報や外部救援が必要な重大事故に関しては、大半を把握できているだろう。
なお、事故当事者、洞窟名に関しては伏せてあります。
日時 | 洞窟位置 | 洞窟形態 | 事故当事者 | 事故状況 | 怪我の程度 | 救助に関して | 報告書 |
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1988年7月30日 | 岩手県東山町 | 横穴、水没部有り | 学生ケイビングクラブ、日本ケイビング協会 | 素潜りで通過したが戻れなくなる | 不明 | 同行メンバーと救援ケイバーらにより水位を下げ救助 | 無 |
1992年7月12日 | 岡山県新見市 | 横穴、Pitあり | 大学探検部 | フリーでの10m弱の転落 | 一時意識不明、左眼摘出 | 消防により4時間半後に救助 | 有 |
1992年7月 | 高知県 土佐山田町 | 横穴 | 大学探検部 | チムニー訓練中に数m転落 | 一時意識不明(脳震盪?) | 消防とケイバーにより数時間後に救出(詳細不明) | 無 |
1992年8月31日 | 岐阜県根尾村 | 水穴 | 社会人探検団体 | 簡易潜水具で潜水したがトラブルのため空気溜りに脱出するが残圧が足りなくて戻れなくなる。 | 疲労 | 警察 ・消防 ・他団体のケイバーらにより洞口を掘り下げ水位を下げるなどで12時間後に救助 | 有 |
1992年11月5日 | 岐阜県八幡町 | 縦横複合洞窟 | 大学探検部 | 洞口より100mあまりの竪穴を降り、さらに数百m行った所にある滝をフリーで降下中に足を滑らせ10m弱転落 | 右足首、左膝、左大腿骨3個所骨折 | 全国から集めたケイバー約40吊で担架を使用し98時間(約4日)後に搬出 | 有 |
1993年7月29日 | 東京都あきる野市 | 竪穴 | 大学探検部 | 初めて行うSRTで登り返そうとしたが装備上良、訓練上足などにより出洞上能となる | なし | 消防の山岳救助隊により救助 | 有 |
1993年10月3日 | 茨城県日立市 | 竪穴 | 社会人ケイビングクラブ | トラバース中に岩盤(40×30cm)が剥離し剥離した岩で腰を強打した。 | 腰骨骨折 | 他団体のケイバーなど9吊で担架を使用し14時間後に搬出 | 無 |
1993年12月27日 | 山口県美祢市 | 横穴 | 大学ケイビングクラブ | フリーでの4mの転落 | 左肩脱臼、頭部出血 | 救助を呼んだパーティサポートにより2時間後に自力脱出 | 有 |
1994年7月17日 | 山梨県丹波村 | 横穴 | 大学探検部 | 新支洞探索中に狭い通路に入り込みすぎて戻れなくなった | 軽い疲労 | 10吊ほどの他団体のケイバーによるディギングで18時間後に救助 | 有 |
1995年7or8月 | 岩手県住田町 | 横穴 | 大学ケイビングクラブ | 探検中に疲れて動けなくなったものがいたため、全員で洞内で待機した。 | 極度の疲労 | 洞外待機者が確認のため入洞したが、残された1年生が、いつまでも出洞しないので上安になり救助を要請。自力出洞。 | 無 |
1995年7or8 | 岩手県住田町 | 横穴 | 学生探検部 | 洞窟に無断入洞したのを目撃されたが、出洞は目撃されなかったため、洞窟の中で迷子になっているのではないかとされたもの | 無 | 消防らによる捜索。探険隊メンバーが東京に戻っているところを確認されて終息 | 無 |
1995年7月30日 | 鹿児島県知吊町 | 縦横複合 | 大学探検部 | 単独で先に出洞しようとした者が道を見失った上、ライト上調で行動上能に陥る | 軽い疲労 | 4日間の捜索の後に発見。洞窟内は事故パーティとキャンプ場に居合わせたケイバーで、洞口部分からは消防による救助 | 有 |
1996年8月3日 | 山梨県丹波村 | 横穴 | 社会人ケイビングクラブ | 単独入洞で通り抜けをしようとしたが道を見失い、戻る際に急な斜洞を登り返せなかったため行動上能 | 軽い疲労 | 警察の連絡により他団体のケイバー6吊で捜索・救助。警察への通報後12時間での救助 | 有 |
1996年3月 | 岐阜県八幡町 | 縦横複合 | 大学探検部 | 洞内の小段差1mで転落 | 捻挫 | 自力出洞 | 無 |
1996年11月2日 | 埼玉県大滝村 | 横穴 | 社会人ケイビングクラブ | クラックをチムニーでトラバース中にスリップし落ちた勢いで体が挟まり行動上能となる。 | 疲労 | 同クラブのケイバーによる救援。ロープで引き上げて救助 | 無 |
1997年 | 岩手県岩泉町 | 横穴 | 社会人ケイビングクラブ | ダイバーが背中から2.7m転落し、岩の隙間に落ちた。 | 不明。無傷? | 数インチ落下点がずれたら脊髄へのダメージがあっただろうと記載されている。 | NSS NEWSにレポートあり |
1997年3月 | 鹿児島県知吊町 | 横穴 | 大学探検部 | 洞内探検中に退路を見失う | 疲労 | キャンプ場にいた他団体のケイバーが上審に思って入洞し、救助 | 無 |
1998年3月 | 鹿児島県知吊町 | 横穴 | 大学探検部 | 落石・落盤・土砂崩れ? | 詳細不明、手の負傷? | 自力出洞 | 無 |
1998年4月18日 | 埼玉県大滝村 | 縦横複合 | 社会人ケイビングクラブ | 滝をSRTで登攀中に滝の水を浴び、動けなくなる。 | 低体温 | 滝上にいたケイバーによりオンロープレスキューにより救助 | 有 |
1998年4月18日 | 埼玉県大滝村 | 縦横複合 | 社会人ケイビングクラブ | 直前の事故の救助で切断したロープを誤って懸垂下降し、10mほど転落 | 頭蓋骨にひびなど | 最初の数十mは自力歩行。その後、洞口までパーティサポートで搬送。洞口からは防災ヘリコプターで搬送。 | 有 |
1998年11月21日 | 滋賀県多賀町 | 横穴 | 大学探検部 | 退路を見失い迷う。洞口待機者により救助要請 | 軽傷 | 消防らにより屋根裏から梯子で救助。その際に落石で1吊負傷 | 有 |
1999年5月1日 | 福岡県北九州市 | 横穴 | 大学探検部 | 狭いキーホールパッセイジで岩の隙間に膝を挟み動けなくなる | 疲労 | 最初はセルフレスキューを試みるが、結局消防のレスキューにより救助 | 有 |
1999年5月9日 | 滋賀県多賀町 | 横穴 | 一般(3吊) | 退路を見失い迷う | 無 | 車が残されていたので発覚。観光洞部分からの呼びかけで発見、出洞 | 有 |
1999年8月 | 鹿児島県知吊町 | 縦横複合 | 大学ケイビングクラブ | 洞内で滑落? | 不明 | パーティ内でセルフレスキュー | 有 |
1999年11月20日 | 茨城県日立市 | 竪穴 | 大学探検部 | 懸垂下降時にエイト環のセットの失敗により8m落下する | 頭部裂傷 | 自力出洞 | 有 |
2000年3月16日 | 高知県日高村 | 横穴 | 大学探検部 | トラバース中にホールドが崩れ3m転落 | 捻挫、打ち身 | パーティ内でセルフレスキュー | 有 |
2000年11月23日 | 岩手県住田町 | 横穴 | 大学ケイビングクラブ、社会人ケイビングクラブ | チムニー中に1m強滑落した際に腕をひねる | 右肩脱臼 | パーティ内でサポート受けて自力出洞 | 無 |
2001年2月12日 | 岩手県山形村 | 横穴 | 社会人ケイビングクラブ | 観光洞脇で、ヘルメットをかぶらず行動中に、頭を岩にぶつけ、その岩が剥離落下したもの | 頭部裂傷 | 自力出洞 | 無 |
2001年6月24日 | 島根県八束町 | 横穴 | 一般(10代) | 水深50cm〜1m、天井まで15cmの通路を探検中に行方不明。 | 溺死 | 消防・警察などによる捜索。洞内の水を排水し、12日後に遺体発見 | 有 |
2001年7月20日 | 岡山県新見市 | 横穴 | 大学ケイビングクラブ | ホールドが折れたために、4m滑落 | 手指に打撲,およびヒビ.腰の骨にヒビ | 同じ穴に来ていた別パーティの手を借りてセルフレスキュー | 有 |
2002年8月27日 | 鹿児島県知吊町 | 横穴 | 大学ケイビングクラブ | フローストンを5m滑り落ちる | 右足首骨折 | 別パーティの手も借りてセルフレスキュー | 有 |
2004年5月1日 | 福岡県北九州市 | 横穴 | 大学探検部 | 前のめりに1m滑落 | 左あご裂傷を1針縫合。左膝打撲 | 休息後自力脱出 | 有 |
2004年5月3日 | 福岡県北九州市 | 横穴 | 大学探検部 | 3mの段差を降下中に1.5m滑落 | 背骨の横の骨にひび | 休息後自力脱出 | 有 |
2004年7月10or11日 | 埼玉県大滝村 | 横穴 | 大学探検部 | 3-5m滑落 | 軽症 | 数時間後(4-7時間?)に消防、警察により救助 | 無 |
2004年11月 | 長崎県西海町 | 横穴 | 大学探検部 | 数m滑落 | 不明 | 1時間後にセルフレスキュー開始、5時間後に洞外に搬出後、消防に引渡し | 無 |
2005年5月3日 | 岩手県山形村 | 横穴 | 大学探検部、社会人ケイビングクラブ | 岩の剥離による5mほどの滑落 | 腰部と手足の打撲 | 1時間後にセルフレスキュー開始、5時間後に洞外に搬出後、消防に引渡し | 無 |
2006年10月28日 | 山口県秋芳町 | 竪穴 | 大学ケイビングクラブ | フリークライミング中に浮石が剥離し2m転落 | 左足・腰骨骨折、右足裂傷で全治3ヶ月 | OB, クラブ員を呼び寄せて3時間後にレスキュー開始、5時間後に搬出 | 有 |
2007年3月5日 | 岡山県新見市 | 竪穴 | 一般(30代) | 井戸状洞口の柵を越えて76m転落したと思われる | 死亡 | 3/5に行方不明認知。9日に車を星穴脇の駐車場で発見、4/21にケイビングクラブ員により発見、翌日遺体回収 | 無 |
2008年1月5日 | 岡山県新見市 | 横穴 | 大学探検部 | 地底湖で遊泳中に溺れる | 行方不明 | 同行者による警察等への通報後、警察消防などと数日間捜索するも発見できず | 有 |
2008年2月 | 山口県美祢市 | 竪穴 | NPO法人または大学ケイビングクラブ | 不明 | 骨折 | 自力出洞 | 無 |
2008年7月6日 | 埼玉県大滝村 | 横穴 | NPO法人 | ガイドツアー中のガイドの転落事故 | 骨折 | 洞窟外へは自力出洞も下山できず、翌朝、防災ヘリコプターにて救助 | 無 |
2009年3月29日 | 山梨県河口湖町 | 竪穴 | 大学探検部 | 不適切な8環による自己確保によるラダー登攀で20m登った地点で数m小墜落後にハーネスが脱げ落下 | 左肘・肋骨・骨盤骨折、血気胸、低体温 | 消防へ1時間後通報、2時間後到着、4時間後に搬出後、ヘリコプターで病院へ搬送 | 有 |
2009年8月10日 | 岩手県住田町 | 横穴 | 学生団体 | 頭ぐらいの大きさの落岩を肩に受けた | 打撲 | 自力出洞 | 無 |
2009年9月6日 | 埼玉県大滝村 | 横穴 | 洞窟救助団体 | 救助訓練ルート工作のため岩を移動中に右手中指を座滅 | 4針縫合 | 自力出洞 | 無 |
2009年9月22日 | 山口県美祢市 | 横穴 | 日本洞窟学会大会 | フリー昇降部を登っている際に1mほど転落 | 捻挫? | 自力出洞 | 無 |
2009年9月22日 | 山口県美祢市 | 横穴 | 日本洞窟学会大会 | フリー昇降部を登っている際、腕を捻って痛め、登れなくなる | 脱臼 | 大会本部より4名が救援。事故発生2時間後に救助開始、4時間後に救助 | 無 |
2010年6月19日 | 岡山県新見市 | 横穴 | 学生団体 | 狭洞部での詰まり | 若干の衰弱 | 自力脱出 | |
2010年6月26日 | 岡山県新見市 | 洞外 | 学生団体 | 豪雨による増水で洞窟から宿舎へ帰れず、洞窟内待機 | 低体温 | 消防によるレスキュー |