日本洞窟学会洞窟救助委員会 後藤 聡
3日目は竪穴での担架引き上げについての講習が、総延長2.1km、深さ447mの竪穴の洞口付近でおこなわれた。
洞口は2つありピッチはそれぞれ43mに30+12mである。
洞口部分の引き上げは洞口近くの2個所の木にそれぞれ3-7m登り、
その間にチロリアンロープを渡して人工支点を作って行うものである。
チロリアンロープ上に支点を作る方法は二種類行われ、
一つはムービングプーリーと呼ばれる手法で、
もう一つがアセンダーを二個向かい合わせに使用して作る方法である。
最初に紹介するのはムービングプーリをー使った場合の引き上げである。
訓練では洞口下まではカウンターバランスで引き上げていたが、
通常は洞口のシステムだけで上げるとのことであった。
確保ロープは、引き上げのためのロープが洞壁に触れる場合などには必須であるが、
何処にも触れないような場合は、使用しない事が多い様だ。
洞口のすぐ下でカウンターバランスシステムから洞口ホーリングシステムに切り替えている 最上部に見えるV字形に変形しているロープがチロリアンブリッジである。 | 右上に見える二人の人によって担架を引き上げている。引き上げシステムにはZリグを使用している。 また、担架には常に搬送者が付き添う。 |
チロリアンブリッジ上のムービングプーリーまで担架が上がった状態。 このあとは、左手前のムービングプーリーの固定用ロープを徐々に繰り出し、 担架をチロリアンブリッジに沿って右奥の方向へ移動させる | 担架が洞口のエッジ部分まで水平に移動し、外にいる人に確保されたところ。 |
次に紹介するのは、チロリアンブリッジ上にアセンダー二つを用いて支点を作った場合の引き上げである。 先に説明した左上の場合はチロリアンロープに沿って担架を引き込んだが、 こちらはチロリアンとは垂直方向に引き込み、また引き上げシステムはカウンターバランスを使用している。
竪穴の底での搬送。 小段差を斜めに張ったスロープチロリアンブリッジを用いて引き上げている。 | 垂直の引き上げに移行している。洞口の光のある付近にカウンターバランスの重りとなっている人が見える。 | 洞口の上に張られたチロリアンブリッジ上にカウンターバランスシステムを操作する人がいる。 カウンターバランスのプーリーはロープ上に向かい合わせに取り付けられたアセンダー二つによる設置されている。 |
プーリー付近まで担架が持ち上がっている。ここで洞口の横に引き込むためのシステムに切り替える。 | 担架が洞口横に設置されたZリグシステムにより引き込まれたところ。引き込みに合せて、 カウンターバランスのロープとチロリアンブリッジのロープが緩められている。 |