日本洞窟学会洞窟救助委員会 後藤 聡
4日目は横穴で搬出訓練をおこなった。 訓練は洞口から急ぎ足で30分ほどかかる場所までの人を載せた担架を運び込み、 再び運び出す形で行われた。途中には腹ばいにならなければ進めない通路や6mほどの小さなピット、 急な斜面、足場の悪いトレンチのある通路など変化に富んでいる。
担架を持って歩けない場所で使用される運搬方法で、担架を腿の上を滑らせていく。 担架が通過したら脇を通って前方へ行き、再び担架が来るのに備えると言うローテーションを組む。 この方法は床の岩角などで担架の人にダメージを与えず安定した移動が可能だ。 本当に狭い場所ではかなり困難となる。 | ピットでのホーリング(引き上げ)とロワーリング(吊降ろし)である。 カウンターウェイトシステムを使用した。 カウンターウェイトシステムは、Zリグなどのホーリングシステムに比べ担架に加わる衝撃が少ない。 このカウンターウェイトに使用するプーリーは強度のある大型のものでなければならない。 |
足場の悪いトレンチのある通路を乗り越える際に利用したチロリアンスロープ。 人だけなら楽に通過できる場所でも、担架を持ち運ぶ場合には障害となってしまうが、 チロリアンブリッジに担架を載せる事で、患者に危険を与えること無く静かに運べる。 |
2mほどの段差を通過するために用いたチロリアンブリッジ。 垂直に引き上げるより斜めに張ったチロリアンブリッジのほうが、リギングも運搬も楽である。 ただし、段差の前後に十分なスペースがある場合に限られる。 | 途中で通路が曲がっている場合には、チロリアンブリッジにデーヴィエイションを設けることで対応できる。 |