日本洞窟学会 秋吉台大会 in 2002 洞窟救助訓練


 2002年8月9〜11日に行われた「日本洞窟学会 秋吉台大会 in 2002」のポストエクスカーションとして8月11〜16日に 洞窟救助講習を行った。その簡易報告である。このポストエクスカーションは、発生した事故に対する洞窟内での担架を使用した救助法を中心に行いました。
 講習参加者は東京スペレオクラブ4名、岡山大学ケイビングクラブ3名、立命館大学探検部2名、早稲田大学探検部1名、立命館大学探検部OB1名、九州大学探検部OB1名の計12名である。
 講師は後藤聡、松丸敦、竹市正代、戸田聡があたり、補佐として、大久保秋、山本智浩、高道和博、藤澤典子、槙島啓子が装備や食料など庶務にあたった。

レスキュー講習(20分;6.7MB)ビデオ(東京スペレオクラブのサイトへのリンクです)

講習日程
日付 時刻
行動内容
8日
午後
姫山の穴洞口確認
9日
午前
姫山の穴、洞内確認
11日

Welcome Party
12日
午前
無名穴SRTリギング(スタッフによる)

午前
3ポイントアンカー等各種アンカーポイント、ノットについて、
Z-rig、ノットの通過、チェンジオーバー

午後
ロワーリング、ノットの通過、チェンジオーバー
ディヴィエーションの作成など


パーティーの管理・指揮
13日
午前、午後
カウンターウェイトホーリング、担架の取り扱い方(TSA/SKED)
チロリアンブリッジの張り方、ディヴィエーションの通過など


各種机上講習
翌日の実習のための机上計画
14日
午前、午後
TSA担架を用いての洞内実習(無名穴)
狭いボアパッセイジでの搬送、スロープチロリアンを使用してのロワーリング、ホーリング
カウンターウェイト+Z-rigによる引き上げ、ダブルロワーリングシステムによるロワーリング

夕方
ロイヤルホテルでの夕食


通信システムについて
翌日の実習のための机上計画
15日
午前
無名穴洞口でのチロリアンブリッジを使ってのホーリングおよびピッチヘッドへの引き込み

午後
SKED担架を用いての洞内実習(姫山の穴)
7mピット、斜洞部を含む搬送等の総合演習


机上講習
16日
午前
装備洗い

午後
反省会、解散


装備管理
Welcome Party
集められた装備類 参加者間の親睦を図るため、初日の夜に軽い
宴会を行う。

左:博物館でカウンターバランスシステムの
  訓練を行っている様子。
下:Z-rigのチェンジオーバー。基礎技術は
  屋外で講習を行う。



上:担架のチロリアンブリッジへの積載。
  細引きで延長して吊るしている。
右:担架への人の梱包。担架内部で人は
  ハーネスによって固定され、PVCの生
  地でラップされている。


上:チロリアンブリッジ上の担架のデーヴィエイ
  ションの通過練習。
右:ムービングプーリーの練習。担架はSSBS
  (シンプル・ストレッチャー・バランス・シス
  テム)により水平に吊り下げられている。


夜間に行なった机上講習や、ミーティング。実習だけでなく、救助隊の基本的な管理、式方法についての講習などがある。

 

引き上げ準備中。
最も左の人が搬送者、右の白いヘルメットの
人はカウンターウェイト。


  引きあがってきたところ
  垂直つり上げから、水平引き込みへの移行中



左上
  洞口前での準備
上、左
  洞口での引き上げ。チロリアンブリッジとZ-Rigを用いたムービングプーリーシステムで引き上げと引き込みを行っている。




チロリアンブリッジを使い斜面を引き上げているところ。
同じく斜面引き上げ中。足場が悪い斜面では有効なテクニックである。


6mほどの垂直の竪穴を引き上げる準備をしているところ。3つのハンガーから流動分散を用いて作成した支点に大型プーリーが取り付けられている。
担架を垂直に引き上げているところ。カウンタ
ーウェイトシステムを使用している。最も上にいる人が引き上げの速度や方向のコントロー
ルを一人で行っている。上から2番目の人は
カウンターウェイトで、ピット上部のプーリーを介して担架と釣り合いをとっている。


カウンターバランスシステムによる竪穴の引き上げ後、ピッチヘッドのセイフティゾーンへ担架を引き込むための準備中
担架をチロリアンブリッジに載せるために7mmコードで引き上げているところ。チロリアン側のカラビナにはイタリアンヒッチでコードが結 ばれていて、そのロープの末端に体重をかけて引き下げながら担架を持ち上げると、少ない力で容易に担架が持ち上げられる。


大きな落盤が転がっている地帯を運んでいるところ。岩の間は数mの深さがあるなど、ロープによる転落防止のサポートがなくては、担架を運べない。担架を持たない通常のケイビングでは容易に通過できる場所も大きな障害となることが多々ある。
手前のチロリアンブリッジと交差する、別のチロリアンブリッジへ担架を移し替えているところ。深いクラックがあったり大きな落石がある、滑りやすい斜面などでは頻繁にチロリアンブリッジが使われ、その間を載せ変えながら進む事がある。


担架を水平に移動しているところ。チロリアンブリッジに載せてしまえば小人数で容易かつ安全に素早く移動させる事ができる
使用装備を洗濯中


装備リスト

装備品目
供出量 使用量
担架(TSA) 1 1
担架(SKED) 1 1
担架(Petzl) 1 0
脊柱ボード 0 0
ハンマードリル 2 1
エッジローラー 0 0
防塵マスク 2 1
オートバイ用ヘルメット 1 1
大型プーリー 6 6
小型プーリー 27 27
タンデムプーリー 1 0
アッセンダー 28 28
クサビ 3 0
タガネ 2 0
ドリルビット 4 1
スタティックロープ 17(760m) 13
ロープウォッシャー 3 3
タックルバック 12 12
ロープスリング 46 46
テープスリング 11 11
ボルトキット 7 4
オーバルカラビナ 123 123
D型カラビナ 8 1
HMS環付カラビナ 4 4
オートロックカラビナ 4 4
環なしカラビナ 9 1
7mmGoマイオン 31 21
10mmマイオン 1 1
ハンガー Wホール 28 28
ハンガー クール 18 18
ハンガー ツイスト 62 21
ハンガー ストレート 24 0
ハンガー リング 28 28
ハンガー クラウン 12 0
ディセンダー(STOP) 10 10
ローププロテクター 16 10
アブミ 0 0
ボルトアンカー 71 12
デイジーチェーン 1 1
プロトラクション 1 0
シャント 1 0

使用した装備は、装備庫から持ち出された数で、実際に使用された数とは異なる。15日には午前と午後で異なる穴での訓練を行ったため、実際の使用量よりも多く計上されている。

撮影、記載:後藤聡

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