1998-1999 庫本 正
洞窟は日本全国に広く見られます。その中には、石灰洞窟(鍾乳洞)、 溶岩洞窟、海食洞窟などさまざまな洞窟があります。昔から人々は、 洞窟をいろいろと利用しながら生活してきました。
日本洞窟学会は、洞窟を探検調査したり、地質、地理、地形、地下水、 生物、古生物、考古、人類、物理、化学といった広い分野から研究し、 洞窟の利用、保存、教育に役立てることを積極的に進めてきました。
日本洞窟学会ができたのは1975年で、それまで洞窟生物の研究者によって結成された日本洞窟地下水研究会や地学関係の研究者仲間の研究グループが一緒になって創設されました。 最近になって、日本ケイビング協会や日本洞窟協会などのケイビンググループとの合併もでき、 一層懐の大きな学会へと脱皮しました。
日本洞窟学会では、日本各地において年1回の総会と学術講演会を 開催し、研究者の情報交換の場となっております。 また、時期を同じくしてケイビング集会も開かれ、楽しい洞窟探検が行われると共に、 活発な技術交流が行われております。
学会の出版物としては、学術誌「洞窟学雑誌」が年1回出版され、 臨時に特別号も出版されてきました。 また、情報誌「ケイビングジャーナル」は年3回出版され、 世界のケイビングおよび洞窟学に関するあらゆる最新情報が直ちに読者のもとに提供されるようになっています。
洞窟学会は世界各国にあり、また世界中の洞窟学会の連合体である国際洞窟学連合も組織されています。 日本洞窟学会もそのメンバーであり、4年に1回開かれる国際会議にも積極的に参加し、 国際交流にも貢献してきました。
私は、現在秋吉台科学博物館に館長として勤務し、長年コウモリと洞窟につきあって参りましたが、 いま日本で、人類未到の世界を探検したり、 その闇の世界を科学の力で解明して行くというロマンに満ちた学会は数少ないと思います。地底に広がる闇の世界に興味のある方はぜひ入会され、探検に、学術研究に参加されるようにお勧めします。 洞窟学会はその期待にかならずやお応えできるものと信じておりますし、会員の希望をできる限り汲み上げて活力ある学会にしていきたいと考えております。