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マイルストーン No.6

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日本洞窟学会洞窟測量
  • 記録委員会ニューズレター
    Milestone #6 (1999.10.2) Cave survey and cave record committee of the SSJ

    第3回委員会議事録

    日時 平成11年8月8日(日)20:25〜22:40
    場所 秋吉台科学博物館講座室
    参加者 石川典彦、浦田健作、木崎裕久、近藤純夫、山西敏光、森住貢一
    水島明夫、山内正、日向治子、畑和也、坪内孝史、高道和博、佐藤登
    絹谷雅子、濱中洋平、北澤晃男、小川孝徳
    議長 石川典彦
    書記 木崎裕久

    
    ※議事
     委員会初参加の人が多いため、委員会のこれまでの経緯を説明 ◎今回の議題 1.学会版測量記号について 2.洞窟データベース 3.洞窟測量ソフト  4.その他
    議題1

     前回の委員会において、UIS測図記号を推奨することを決め、それをベースに学会版測量記号を作成ということで、UIS記号に追加すべき記号を検討してきた。
     今回までに提出された意見として、三者から以下の意見が提出された。

  • "ペンダント"、"ケイブパール"、"腐植土"の3つの記号を追加してはどうか?(石川)
  • 古い洞窟の入り口にある社などについて、日本の地図記号に習って、仏教はお寺マーク、神道は神社マークでどうか?(勝間田)
  • UIS記号以外のものについては、各調査者が考えてその都度報告書に載せればいいのではないか?(浦田)
  •  これに対し、学会版測量記号をどのようになものにするべきか検討する予定だったが、UIS記号そのものに対して、下記の意見が提出された。
  • 新しい測図記号に賛成なので、エスペラント語の普及失敗を糧として、測量記号の普及には慎重にお願いしたい。
  • 記号に対して、もう少し説明が欲しい。
  • スタンダード(基準)を強制して欲しくない。
  •  以上のようにさまざまな見解が出されたため、話はまとまらなかった。結論は次回委員会に持ち越しとなり、それまでに、もう少し測量記号について宣伝をすることにして、広く意見を聞くこととした。

    議論の中で

  • UIS記号と既存の記号との対照表が欲しい。(水島) という意見がだされたが、これに対してはなるべく早いうちに作成したい。

    火山洞窟記号について

    現在、近藤・槙田両を中心に、新たに火山洞窟学部より勝間田隆吉、勝間田明男の二人が加わって、ワーキンググループとして動いてもらうことになった。
    補足として、小川評議員より、火山洞窟以外に凝灰岩洞窟の特徴を表す記号も必要と意見が出された。

    議題2

    目的と経緯
    洞窟記録のデーターベースの作成
    第 1ステップ 全国の地域ブロック分けと、その地域で洞窟の地域情報に詳しい人のリストアップ
    第 2ステップ リストアップされた人への協力依頼と情報収集
    第 3ステップ収集したデータの分類と情報の少ない地域の列挙と呼びかけ
    第 4ステップ優先して情報収集する項目検討(縦穴、過去に事故のあった穴、危険な穴、保護が必要な穴等)
    第 5ステップデータベース化の検討と活用方法、メンテナンス方法の検討
     
     
    以上のように、あまり負担のないよう、徐々にやっていってはどうか。(木崎)

    全体的な方針の叩き台は木崎委員が、大洞窟の記録の叩き台は、浦田委員が作成することになった。

    ※大洞窟リストを作成するうえで、そのデータの根拠について、文献の取り扱いについて議論がなされたが、委員会としてはまだそれについての取り扱いは決まっていない。今回の委員会で問題が浮き彫りにされたといいだろう。
     また、リストを作成作業に関しての意見は、前号のニュースレターでお願いしている。引き続きよろしくお願いしたい。(水島、浦田各委員には、あらためて意見の提案をお願いしたい。)

    議題3

    近藤委員が中心となって作業を進めており、2〜3年をめどに既存の各測量ソフトを検討する。

    下記のURLに資料と情報が用意されている。

    http://www.wec-net.com/survey2.html

    議題4

    測量マニュアルの作成 海外のマニュアルの目次を例として紹介。 前回委員会で、地底研マニュアルを元に作成すると確認されたが、地底研マニュアルの内容では不十分であると思われるので、もっと充実したマニュアル作成を考えているので、早いうちに全体的なコンテンツを作成して方針を決めたい。 測量器械のリストアップ 前回委員会の時に、洞窟測量器械について色々まとめてみたいと言う意見があり、 手始めにコンパスについて比較検討すると言うことだったが、担当の山西委員より、次回までにまとめるという報告があった。

    その他

    記録のメインテナンスが大変困難なので十分検討して欲しい。(水島)
    という意見が出された。 これについては、今後洞窟記録(例:日本の大洞窟)に関して整備していく上で問題になることなので、検討していく必要がある。

    配付資料

    委員会時に配付した資料(海外の洞窟測量本の目次)について、分かりにくい面もあるので、訳文(BCRAとNSS発行の本の目次)を掲載しておく。 学会で作成する洞窟測量マニュアルも、このようなコンテンツで考えていきたい。

    BCRA"An Introduction to Cave Surveying"の目次
      1.紹介                             11.データの記録
      2.洞窟測量の原理                   12.測量ポイントの計算
      3.測量の精度                       13.開放トラバース測量
      4.コンパスとクリノメータ           14.平面、縦断面、横断面
      5.テープと他の装備                 15.測量ポイントのプロット
     6.誤差と錯誤                       16.細部の製図
      7.測量機器の調整                   17.原図の調整
     8.測量チーム                       18.発表
     9.基線測量                         19.文献と引用
      10.洞内の細部測量
    
    NSS"On Station"の目次
      第1章 データ収集                  第2章 データ処理
       1.洞窟測量の基礎                  12.データの換算と座標を描く
       2.直線に測る方法                  13.測量誤差と閉合差
       3.洞窟測量の器械                  14.コンピュウータによる処理
       4.スケッチとその道具
       5.テープ                          第3章 地図調整
       6.観測機器                        15.地図調整器具
       7.スケッチ                        16.地図の下書き
       8.リーダーシップ                  17.原図を描く
       9.測量の要領                      18.原図の構成
      10.長い洞窟での要領
      11.洞外測量
    
    学会版洞窟測図記号作成に向けて

    a) 日本の洞窟測図記号の履歴と現状
     1969年に日本ケイビング協会(以下JCA)が、会報である"Japan Caving 季刊1第1巻第1号"に公表した洞窟測図記号が日本で最初に洞窟測量の面から考えられた記号であろう。その後、1971年に地学団体研究会という団体(以下地団研)が、その団体が発行している本、"洞くつの地学"の中で、地団研独自の洞窟測図記号を公表している。これは、数種類ある記号の中で唯一ケイビング関係の団体ではない団体が発表した記号だろう。1979年には、洞窟学研究会(以下洞学研)が"石灰洞の研究第3号"に洞学研独自の記号を公表している。以後、日本のケイビング組織(大学サークルは除く)で、新しい洞窟記号を公表した組織はない。

     一方、大学サークルでは、山口大学洞窟研究会(以下山大洞研)が唯一独自記号を持って活動している。山大洞研記号としては、初版が1982年発行の会報"石灰洞報告書第21-22集"に公表されており、その改訂版が1996年発行の"石灰洞報告書第第23、37集"に公表されている(その後修正版が、山大洞研のホームページに公表されている)。 一般的によく知られている洞窟測図記号の中で、日本洞窟協会(以下日洞協)発行の"平尾台の石灰洞(1982)"に載っている記号があるが、これは平尾台を調査したグループが、平尾台の石灰洞をまとめる上で、それまでの日本の測図記号をまとめるように考案した記号であって、日洞協が正式に公表したものではない。そのために、日洞協の記号としてでなく、"平尾台の石灰洞"の記号として参照される。

    b) 世界の洞窟測図記号の動向
     国際洞窟学連合(以下UIS)には、1960年代後半には常用記号委員会が設置されていて、そこで洞窟記号の標準化等の話がされていたようである。当時の資料に、6ヶ国の記号との対照表があり、各国それぞれ独自の記号を用いてたのが分かる。その後は、徐々に標準化への話し合いが進むに連れ、UIS記号を取り入れて各国(UIS加盟国)それぞれ自国の標準記号を作成したようである。1998年10月に正式に決定されたUIS公式記号と、NSS記号(1976年作成)とを比較してみると、類似記号がたくさんある。

    c) 学会版洞窟測図記号の必要性
     項目a.で解るように、現在日本で唯一のナショナルケイビング組織である洞窟学会は、標準洞窟記号を持っていない。また、独自に持っているケイビング団体もごく少数だ。ということは、多くの洞窟を調査するものにとって、洞窟の測図を作成するときには、参考にするべき基本的な記号はなく、独自に考えるか、過去に公表された記号を使うかのどちらかだということになる。日本洞窟学会は、洞窟学とケイビングが一体となった日本唯一の組織であり、洞窟に関する事象を科学的、総合的に究明し,洞窟学の進歩普及をはかることを目的として活動している。その中で、洞窟学の一分野でもある測量学において進歩普及をはかるうえで、学会としての洞窟測図記号は必要であると考える。

     項目a,b,cと学会版洞窟測図記号の作成に向けての活動の背景を述べてきたが、委員会では学会版記号の作成を考えた矢先に、UISにおいて国際標準記号の提案のニュースを聞き、委員会としては日本洞窟学会がUISの加盟国であること、今後国際交流が深まるであろうということ、上記3つの理由からUIS記号をベースに学会版洞窟記号を考えていくことと、UIS記号を推奨していくことを決定した。
     今後、学会版洞窟記号(決定後)やUIS記号を委員会として運用していくにあたって、既存記号があることや、学術的発展を考えれば、学会としては強制はできないので、記号の発表だけは行い、あとは委員会や学会としての活動、例えば測量講習会等ではその記号を用いて行うなどが考えられる。委員の方々の御理解をお願いしたい。

    
    

    マイルストーン
    日本洞窟学会洞窟測量・記録委員会ニユ−スレタ− No.6
    1999年10月2日発行
    編集・発行人:石川典彦
    発行場所:〒305-0031 茨城県つくば市吾妻3-830-101
    E-mail:snow@gsi-mc.go.jp

    Milestone
    Cave survey and cave record committee of Speleological Society of Japan Newsletter No.5
    October 2 1999
    Editer & Publisher:Norihiko Ishikawa
    3-830-101 Azuma, Tukuba,Ibaraki,305-0031 Japan
    E-mail:snow@gsi-mc.go.jp