洞窟Q&A(ケイビング・探検技術・その他)
- 洞窟の中で酸欠になることはありますか?
- ライト無しでも探検できますか
- 洞窟の中を流れる水は飲めますか?
- 洞窟の所有権はどうなるのですか?
- 日本に洞窟はいくつありますか?
- 洞窟の中で酸欠になることはありますか?
- 回答 : 後藤 聡
基本的に、自然の洞窟の中で酸欠になることはありません。坑道の場合は別です。
特に洞口で風を感じることのできる洞窟においては皆無といっても良いでしょう。
洞窟にはコウモリすら通れないような微少な通路がたくさんあり、
常に洞口から奥の方へ、または逆方向に僅かな空気の流れがあります。
この空気の流れによって洞窟内の空気が外気と循環しているので、
酸欠の心配がないのです。
ただし、とても狭い空間にたくさんの人がいる場合や、
火山性ガスが発生する場所、発電機を回すなどした場合には、
酸欠または二酸化炭素、一酸化炭素中毒の恐れがあります。
なお、日本において酸欠による事故はこれまで発生していません。
- ライト無しでも探検できますか
- 回答 : 後藤 聡
洞窟の中は基本的に光のまったく無い暗闇です。闇夜の屋外であれば、
目が慣れれば歩くことはできますが、洞窟の中では目が慣れると言うことがありません。
したがってライトは必ず必要です。
必要が無いとすれば洞口からの光が届く範囲だけですが、
日が暮れてしまえばやはりライトは必要になるでしょう。
またライトを一つしか持っていないと、電池や電球が切れたりして壊れてしまうと、
その場から動けなくなってしまうので、複数のライトを持っていかなければなりません。
- 洞窟の中を流れる水は飲めますか?
- 回答 : 後藤 聡
洞窟の中を流れる水は基本的には地表の河川と同じと考えてください。
洞窟の中を流れる水は地表に降った雨が滴下水として集まってできたものだけでなく、
上流にある吸い込み穴(ポノール)で地表の河川の水が地下に流れ込んだものとあります。
特に後者の場合、水が吸い込まれてから洞窟に達するまでに数分から数日と短い時間しかなく、
浄化作用はほとんど期待できません。
洞窟の中を流れる水が雨の浸透水なのか、地表河川の流入水なのかは、
周辺の詳細な調査をしない限り判りませんので、河川の水が流れ込んでいると考えておいたほうがいいでしょう。
特に、洞窟の上流や、周辺の山の上に集落があるなど汚染源がある場合は、飲用にすることは避けるべきです。
洞窟の中の水は地表の地形とは関係なく、尾根を越えて流れてくることさえあります。
また雨水の浸透水の場合でも、途中でグアノ(コウモリの糞)の中を流れることもあり、安心できるものとは限りません。
このことは洞窟の中を流れる水だけでなく、石灰岩地帯にある湧き水についても言えます。
湧き水は綺麗と言うイメージが一般にはありますが、石灰岩地帯にある泉の場合には、
前述のように浄化作用が期待できないことがあるので、飲用に供するのは、
保健所などの水質検査で問題ないとの結果がでている場合のみにしておいたほうが無難です。
かなり昔の話しですが、石灰岩帯から流れ出る水を飲用にしていた外国のある地域で、
その泉から離れた場所にある竪穴に家畜の死体を捨てたところ、しばらくして、
その水が原因で疫病が発生したという事例もあります。その竪穴の底を流れる水が、
泉に通じていたために発生してしまったものでした。
- 洞窟の所有権はどうなるのですか?
通常は下記のように判断されているようですが、明示された法律が無いため
最終的な判断は、裁判所により確認することされると思われます。
1)一般的に、地上の土地所有者の権利が、地下にも及ぶ
2)特別に地下の権利が分離されていれば、地下の権利は別になる
3)入口も含めて、奥部の地上所有権が一致していれば、完全にその所有者のもの
4)2つ入口があり、片方が別の所有者である場合、地上の土地を投影して分離
5)入口が別所有者の場合、奥部の土地所有者は裁判などで洞奥部の所有権確認をすると明確になる
6)奥部が入口権利者に長年利用されている場合、奥部も利用権が生じている場合がある
- 日本に洞窟はいくつありますか?
- 回答 : 後藤 聡
はっきりした数は判りません。洞窟の定義自体がはっきりしていないため、
どれを数えたら良いのかがはっきりしないためです。これは、
洞窟と岩陰との区別を何処で区切るのか、また海蝕洞を含めるのかどうかなどにより、
大きく数が変わるからといった理由によります。石灰岩にできる洞窟だけに限った場合、
1987年の時点で5,000、さらに古い時点では3,000という数が示されたことがありますが、
この値も洞窟と岩陰の境界次第では変わります。また13年前の値ですから、
現在はもっと増えています。
なお、1000m以上の長さを持つ洞窟は、現在までに70以上が確認されています。
- 洞窟の地図は何処にあるのですか?
- 回答 : 後藤 聡
洞窟の地図には二つあります。一つは洞窟の位置図で、
洞窟が何処にあるのかを示すものです。もう一つは洞窟の内部の様子を記した洞窟測量図です。
洞窟の位置については、道路地図や国土地理院の2万5千分の1の地図などに、
名称と場所が記されていることがあります。ただし、
ここで記されている洞窟は天然記念物であったり、古くから知られている洞窟で、
新しい洞窟や、あまり知られていない洞窟の位置は載っていません。
また、市販されている観光ガイドブックやケイビングのガイドブックにも記載があります。
それ以外の洞窟の位置図については、後述する洞窟測量図と同様の扱いとなります。
洞窟測量図については、市販されていることはほとんどありません。
多くの場合これら測量図は、行政などが作成したわけでなく、
洞窟を探検するケイビングクラブや大学探検部などにより作成されています。そのため、
基本的には測量図はこれらのクラブから入手しなければなりません。
ただし、日本洞窟学会が所有・販売している各種出版物には、
これらの測量図が発表のために掲載されていたり、
ある特定地域の特集号として出版されています。
これらのバックナンバーを購入し入手することも出来ます。出版年度が古い場合は、
最新の状況とは大きく異なる場合もあります。
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