ケイビングの基本装備
基本装備
その他の追加装備
食料、緊急時の対応
ザック、防水箱
小物類や、エマージェンシーキット、ロープ、食料などを運ぶためにザックが必要である。
PVCで作られた円筒形のタックルバックが用いられる。直径は18-22cm程度で容量は10-20リットルで、
背負うための1−2本のストラップと、手で持つための取っ手がついている。
このサイズのザックは人がやっと通れる狭い通路でも容易に運べ、
また濡れて湿った泥の中を運んでも内容物への影響が少ない。
弾薬箱やペリカンケースのような防水箱はカメラなどの精密部品を運ぶ際に利用される。
円筒形のロケットチューブのような防水筒も同様の用途に用いられる。
こちらの方がタックルバックへの収納性は良く、愛用者が多い。
タックルバックより更に小さなポシェット類も利用される。やはりPVC製で、
容量は数リットルである。
主にエマージェンシーキットや替え電池、水、非常食など各個人に最低限必要なものを入れ、
腰につけて運ばれる。
サバイバルバッグ
洞窟の中でやむなく長時間同じ場所に留まる事になった際、体温の損失を防ぐために使用される。
もっとも望ましいのは体が入る大きさの丈夫なポリエチレン製の袋である。
この袋の閉じられた側の隅を顔の大きさだけ切り開き、頭からかぶり、切り開いたところから顔を出して使用する。
そして足元で、袋の中に暖かい空気が入るように、ろうそくやカーバイドの炎をあてるようにする。
このことで、たとえ十時間といった長時間の待機にも耐える事ができる。
しかしながら、そうした袋は入手しにくく、
多くの人はスペースブランケットという薄いポリエチレンフィルムにアルミを蒸着したものを使用している。
ただし、これはたいてい筒状になっていないため、暖気を確保しにくいことと耐久性に乏しいのが弱点であるが、
極端に寒くない洞窟では十分に役に立つ。
また頻繁に短い休憩がある場合にはポンチョも有効である。
いずれのものを使うにしても、それらはケイビングを行う際に常に携帯しておくべきの物である。
通常はヘルメットの中に入れて運ばれる。
多くのヘルメットではシェルと頭の間にサバイバルバックを入れる隙間がある。
ヘルメットに入れておけば、持っていくのを忘れる事は無くなるだろう。
言うまでもないが、硬いものを入れてはならない
ホイッスル
笛の主な目的は、竪穴の各ピッチでのコミニュケーションを取るためである。
特に水の流れ落ちる騒がしいピッチでは、声が非常に聞き取りにくくなるので必需品である。
また同行者の注意を引くことにも使用される。後続者が道を見失ってついてこない場合や、
先行者を見失った場合などにも使える。笛は、紐に通して首に掛け常に運ぶべきである。
ファーストエイドとエマージェンーキット
洞窟の中で怪我をした際に利用できるファーストエイドの用品と緊急事態に対応するためのエマージェンシーキットは常に運ぶべきである。それは各個人が持つべき物と、パーティで持つものと分けられる。
個人で持つべき物は、絆創膏とろうそく、筆記用具、スペアバルブ、ライターなどである。
鎮痛剤のような痛み止めを加えても良いが、その使用は個人の責任に帰するもので、
他人に強制的に用いてはならない。
パーティでのキットには、更に消毒剤、包帯、三角巾、脱脂綿、サイリウムライトなどが加わるだろう。
いずれにしても、想定される事態に対応できるだけの知識を持ちあわせていなければ、
これらの装備を有効に使いこなせないので、応急方についての講習を消防や赤十字で受けておかなければならない。
これらのファーストエイドキットは防水コンテナや防水ボトルに入れて持ち運ぶべきである。
そうしなければいざという時に、使えなくなっているかもしれない
ベルト
もし、ハーネスを常に着用し、ライトが腰に電池ボックスやジュネレーターを必要としないものならば、
ベルトは必要でないかもしれない。
そうでない状況ではベルトは電池またはジェネレーターを取り付け、トラバースなどでの安全確保のために、不可欠である。
電池ボックスを取り付ける用途のベルトに、安全確保のための荷重をかけてはならない。
荷重を掛ける事ができるのはハーネスと同様に作られたクライミングベルトである。
幅5cm程度の幅のナイロン製のクライミングテープと金属製のバックルから作られているようなものだ。
これには荷重を掛けることはできるが、ベルトに完全にぶら下がるような使い方は出来ない。
そのような場合はハーネスを使用する。
また、ベルトを使用することで、多少サイズの異なるオーバースーツを快適に着ることが出来たり、
腹の中に小さな物を入れて持ち運ぶことも出来るようになる。
細引き
細引きは直径6-8mm、長さ5-6mのクライミングロープに似たナイロンロープである。
これをウエストのまわりで巻いてブーリンノットなどで結んで止めて運ぶこともできる。
この細引きは、洞窟の中で遭遇する多くの状況で有益である。このロープで簡易あぶみを
作り、技術的に未熟な人が岩場を登るのを補助することは良くある。
目出帽
体からの熱損失の30%以上は頭から発生するので、
事故の場合や、寒い洞窟での長時間の待機のために目出帽を運んでおくことは賢明である。
また、それは冬の寒い風の吹く屋外でのアプローチでも役に立つ。
ただし、洞窟内での通常の活動においては、暑すぎるので、
ファーストエイドキットなどと共に運ばれるだろう。
カラビナ
1-2個のカラビナはトラバースラインなどを取り付けるために運ばれる。
環付きカラビナ方が環の無いカラビナより安全であるため、大部分のケイビングの用途では環付きが用いられる。
西洋ナシの形をしているHMS型のカラビナは、ライフラインをイタリアンヒッチで確保するためにも用いられる。
時計
洞窟の中では時間の感覚が無くなるため、少なくともパーティに一つは時計が必要である。
時計が無いと、出洞予定時刻を過ぎたことに気づかず、レスキュー出動の騒動を起こしかねない。
時計は丈夫で防水の物でなければ、洞窟の環境の中で壊れてしまうかもしれない。
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